物理的にループになっているL2ネットワークにおいて、データが無限にループする ブロードキャストストーム を防ぐためのプロトコル。
目的
- ループの回避
- 冗長性確保による信頼性向上 ネスペ試験で出てくる冗長性に関する用語集
ブリッジIDとポート優先度
各ブリッジやスイッチに一意のブリッジIDが割り当てられる。 各ポートには優先度があり、これに基づいてSTPは冗長な経路を選択する。
BPDU(Bridge Protocol Data Unit)
STPを制御するための特別なデータフレーム。 一定時間(2秒)ごとに、スイッチングハブから他のスイッチングハブへとブロードキャストされる。 BPDUには、ブリッジID、ポートID、パスコストなどの情報が含まれ、ネットワークの状態を判断できる。
ネットワークの変化を検知すると再計算を行い、遮断ポートの開放や変更を行うことで最適な通信経路を維持する。
ブリッジID
ブリッジの優先順位とMACアドレスを組み合わせた値。 優先度は管理者が設定する。 ブリッジIDが最も小さい値のスイッチが ルートブリッジ となり、ツリーの中心となる。 ルートブリッジがBPDUを送信し、複数の経路からBPDUが届けばループが発生していると判断できる。
パスコスト
ルートブリッジまでの距離を示す情報。回線の速度も計算に入れられる。 コストがより小さい経路が選択される。
ルートポート(RP)の選出
各非ルートブリッジで、ルートブリッジに一番近い(パスコストが最も小さい)ポート。ブリッジごとに1つ ルートブリッジ自身にはルートポートはない
指定ポート(DP)の選出
各リンクでルートブリッジに最も近いポート。リンクごとに1つ ルートブリッジのポートはすべて指定ポートになる。
非指定ポート(NDP)の選出
ルートポートでも指定ポートでもないポートは非指定ポートで、ブロッキング状態となりデータフレームは転送しなくなる。
ポートの状態遷移
STPは、各ポートに対してブロッキング、リスニング、ラーニング、フォワーディングなどの異なる状態を持つ
- ブロッキング: データを転送しない
- リスニング: STPの状態を確認中
- ラーニング: STPの学習中
- フォワーディング: データ転送をする
ルートブリッジから最も遠いブリッジのポートがブロックされる。これによりネットワークがツリー型になる。
関連技術
PVST+
Per VLAN Spanning Tree Plus 複数のVLANで個別のネットワーク接続形態を構成することが可能な技術
RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)
STPの再計算時間が大幅に短縮され、ネットワーク異常からの復旧が高速になっている。
STPの運用負荷を軽減
STPは設定が複雑で、設定ミスによるトラブルが生じやすい難点がある。また、障害発生時の経路の切り替えに時間がかかる。
STPを使わずにネットワークの冗長性を確保する方法として、 スタック接続 や リンクアグリゲーション がある。 複数のスイッチングハブを論理的に1つにすることで取り扱いがしやすくなり、configも1つで管理できる。 これらの技術を使うことにより運用管理の負荷を軽減できる。